チリワインが美味しいのに安い理由とは
美味しいのに、安い。安いのに、高品質。
チリワインの人気が国内で火がついたのには、恐らくこの理由がもっとも当てはまっていると考えられます。
生産者たちやチリワイン関係者たちは、“安い”をウリにしたくないと言っていますが、現実この理由無しでは、世界や日本でここまで受け入れられなかったでしょう。
しかし、ここまで品質が高いのにも関わらず、なぜチリワインは安いのでしょうか。今回は、”チリワインが安くなる理由”について考えて行きたいと思います。
①チリから日本への輸入にかかる税金が安い
まず、チリワインが安価である理由のひとつに、日本への輸入にかかる税金が安いということが挙げられます。日本でチリワインの輸入量が増加しはじめたのは、2007年。
この年に、オリンピックがあったとか、チリで何か大げさなワイン革命が起こったとかそういったことではなく、「日チリEPA」と呼ばれる貿易協定が結ばれます。経済活動の自由化を推し進めるための、貿易自由化である「日チリEPA」によって、さまざまな商品の関税が他国に比べて安くなっていきました。
このEPAを結んだ国との関係性は一過性のものではありません。年々関税が減少していき、最終的にはゼロになるという協定です。
EPA(経済連携協定)がチリワインにもたらしたものは大きく、他国であれば15%前後かかる関税が、2016年のチリワインの場合、5.8%という低さだったというのですから驚きです。
例えば、10000円のワインを輸入するとなったら、関税で11500円かかるところが、チリワインであれば10500円で済んでしまう、ということ。
大きな差がないと思われがちですが、数百万本という数を仕入れる業者にとってみれは関税の影響は大きく、さらにもともと安価であるチリワインを現地価格に近い価格で販売できることは、市場にとっても旨味があるわけです。
2019年には関税は0%になる予定
さて、関税は段階的に下がって行く、というお話をお伝えしました。2016年のチリワインにかかる関税は5.8%でしたが、2017年には2.3%と大きくその関税が引き下げられています。
そして、2018年にはもう一段階下げられており、ついに2019年には関税が完全にゼロとなり、チリワインがさらに手に入れやすくなるわけです。ボージョレ・ヌーヴォーを想像してもらうとわかりますが、「新酒にしてはやや高額なアイテムだ」と感じたことがある方もいるでしょう。
すぐに日本に到着させなければいけない航空便扱いであることも関係していますが、当然関税もかかってきます。本来1,000円程度のワインが、日本で売るとなると2,000円以上の価格になってしまう、ということもよくある話です。
2019年、チリワインの関税がゼロになれば、品質が高い上に価格もカジュアルという驚くべきワインとの出会いが広がることは間違いありません。チリワインの今後に期待せざるを得ない状況なのです。
②人件費が安く生産コストが抑えられる
チリワインが比較的安価であることの要因に、人件費が安いこともあげられます。まず、広大な敷地を有しているワイナリーが多いですが、土地代もフランスに比べるとかなり安く、そこで働く方々の費用も抑えることができています。
ブドウ栽培に適した環境であることはもちろん、醸造設備も最新式を使っていることから、そもそも多くの人たちを雇う必要もなく、さらに人件費が低いことでワインに上乗せされる金額が少なくて済むということになります。
もちろんブティックワイナリーもありますが、ヨーロッパやアメリカ、日本と違って、人件費が少ないので結果的に驚くべき安さで高品質ワインが楽しめるということになっているわけです。